無という宇宙

私はなにかをするとき知識とか経験とか技術とかに頼らずに、無になってしたいと子供の時からそうしていた。例えば写生大会で絵を描くとき、例えば地区大会の予選とか決勝とか、テストとか受験とか、仕事の撮影の絵作りとか仕事自体とか、その日のその時の自分の無の状態でその時の自分を無から取り出して。知識も経験も技術もそこに現れる無の世界を表現するには何もかもが未熟で言葉にも形にも上手くはできなかったけど。ルールや常識に縛られない小さな時にはそれでも恐ろしい程に夢中にその時はその瞬間は、のびのびと表すことができたが、未熟な技術では到底観ているものを表せないもどかさで、落ち込むだけだった。

無の宇宙に魅入られたのかもしれないが、自分の力はとても及ばず落胆するのではあるが少しずつ、進歩はしていると思う。これは誰かと話してもわかり合えることがない、会話が通じない人としかまだ会えていない。何のためにするのか理解もされない。私がものを作るとき映像が浮かぶ、それは全容のわからないものではあるので、手探りで作り進む、それは誰かのためだったり、困ってる人を助けるものでもないし、日本を良くするものでも、地球のためでもない。強いて言えば自分のためで自分の存在する意味だけであるし、私の抱える宇宙の為かもしれない。

ただ無の世界はとても広大で生きてる間には表現する出来はしないかもしれないし、私自身も知りたいものではあるし、観たいのだ。これは私だけではないと思う、人が居るだけものがあるだけ、そこには無数の無の世界があり、それぞれの運と価値観で表現される。人の喜ぶ顔や楽しむ顔を見ることを望んだり、人から尊敬や憧憬、好意を望むものやお金を増やしてプライドを得るものを良しと見る世界の人も居るだろう。それぞれの歓びや願いはそれぞれの無の世界から見える世界なので誰もが違う世界が見えている。無の世界から得るものを欲して手段を選べないものもいるだろう、それは欲望だったり愛だったり物だったり表現方法は違ってくるけど、それは誰もが持ってる世界だと思う。ただ見えるものは全く違ってるものでそれは長い年月の歴史かもしれないし、未来なのかもしれない。

私は無の世界に魅入られているのだろう、それが邪悪だろうが天国だろうが、それぞれが歩む道なのだからそれを人が理解し合えるのはとても難しく、影響されたり違う物を観たりして混ざり合っていくのかもしれない。出来ればその表現方法の技術を鍛えるしか人に伝えることは出来ず会話もできないのだと思う。出来れば私の表現した物が誰かに気がついて貰い会話が出来ると良いなって思う。

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